著:株式会社ランシステム システム外販部 黒澤一秀
最近、筆者は「コロナチャンス!」という言葉を使うことがあります。不謹慎なことを言いているわけではなく、「物事を前向きにとらえ、大きく前進する機会だ!」という意味で使っています。例えばテレワークやweb会議という言葉は随分前からありましたし、優れた技術も沢山あったにもかかわらず、つい数ヵ月前までは伝統的な仕事のやり方が優先される場面が多かったと思います。しかし、コロナの影響で社会が大きく変わりテレワーク、web会議が推奨されることとなりました。初めはいろいろな課題がありましたが、知恵を絞りだし課題を乗り越え、前進することでコロナの前よりも合理的且つ効率的に仕事が行える場面も増えてきました。
さて、今日はコロナチャンスではありませんが、無線アクセスポイントの革命のきっかけになるかもしれない新製品「ヤマハwlx212」のwebセミナーに参加しました。まず、これまでの製品と大きく異なる点は、wlx212をLANに繋いだだけで、全てを完了出来てしまうことです!想像してください、全国に1,000拠点ある施設にアクセスポイントを設置しようとしたら1,000台の設定が必要になります。1日頑張って50台設定しても20日もかかる計算。そりゃー1,000回も開梱したら、段ボールで指も切りますよ。設定作業がいらないということは、エクセルで出荷依頼リストを作って倉庫から直送が出来るってことです。つまり、アクセスポイントの設定作業をテレワークでできてしまうかもしれないということ。革命的だと思いませんか!?では、どうやってこの仕組みを実現しているのかをなるべく分かりやすく説明します。
wlx212をDHCPでインターネット接続できるLAN環境に接続すると、Yamaha Network Organizer(YNO)というヤマハのネットワーク機器を管理するクラウドに自動的につながる仕組みになっています。YNO上には事前にアカウントを作り、機器のシリアル番号とデバイスIDを登録し、設定情報を紐づけておくことで、YNOにつながってきた機器の設定を自動的に行います。
これだけでもすごいと思うのですが、YNOにつながっているということは、運用面においても革命をもたらします。上位機種にしか搭載されていなかった「無線LAN見える化表示機能」がwlx212には搭載されました。つまり、現場に行かずに設置場所の電波状態(外来波)を確認しチャンネル調整をYNO上で行うことが出来ます。また、地味ではありますが一括リビジョンアップが出来ることも管理者の負担を軽減します。
また、上位機種に搭載されていた「無線通信平滑機能(Airtime Equalizer)」が搭載されました。機器の接続台数が多くなるオフィスなどでは、この機能が非常に有効です。2.4GHz帯は外来波等でチャンネルの空きがないことが多くありますが、バンドステアリング機能で出来るだけ5GHzに接続させる事も安定化させる手段として有効です。
セキュリティ面においては、WPA3搭載で暗号強度の強化がはかられました。Wi-Fi Enhanced Open にも対応し、パスワード入力の手間を省き無線区間の暗号化を実現する機能です。ネットカフェ、コワーキングスペース、企業の商談スペース(ゲストwi-fi)などで活用できそうです。AP間プライバシーセパレータ機能は、これまで上位の有線LAN区間でVLANやアクセスコントロール設定で、手間がかかっていたセキュリティ設定を一気に解消できる機能です。シンプルに構築できるので設定ミスなどのリスクも軽減できます。
アクセスポイントの設置方法については、壁掛け設置、天井設置、卓上設置が可能で取り付け金具も費用内で付属されるようです。また、電波の指向性の切替えが可能。カラーバリエーションは白/黒2色。LEDの色はブルーとオレンジで色弱の方でも色の違いが分かりやすいユニバーサルデザイン。アクセスポイント自体の大きさもコンパクトになりました。wlx202との比較写真参照。
ここまでの機能を搭載して、wlx212の本体価格は、39,800円(税抜)というWLX202の価格を維持してくれたのも嬉しいポイントです。しかも、YNOの1年間ライセンスが付いてくるそうです。
今回搭載が見送られたwi-fi6については、業務用アクセスポイントとしての安定性強化と、コスト面の課題がるようです。wi-fi6は新しい上位機種に搭載されることを期待したいと思います。いずれにしてもコストアップなしで、ここまでの機能を搭載してきたヤマハの本気が伝わるセミナーで、7月の発売が楽しみです。
Webセミナーは移動時間が不要なので前後の予定を入れられる、短時間のセミナーでも参加しやすい点、チャットで質問ができるので普通のセミナーより活発な質問意見が出る点が優れていると感じました。今後もこのようなセミナーが開催されることを期待しています。
ヤマハ WLX212
https://network.yamaha.com/products/wireless_lan/wlx212/index