2023年6月22日開催、タイムリープ株式会社とセーフィー株式会社主催のオンラインセミナー「無人店舗でも顧客満足を得る秘訣」に当社社員が登壇しました。
本セミナーでは、人手不足の現代において、効率的な店舗運営を実現するために必要なポイントについて、当社からは自遊空間での店舗無人化から得たノウハウを、自遊空間の遠隔接客サービスセンター責任者を務める佐々木よりお話いたしました。
併せて、主催であるタイムリープ社からは遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」を、セーフィー株式会社からはクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」が紹介されました。
両製品は当社の自遊空間の無人化において非常に重要な役割を果たすサービスであり、当社セッションでもその活用方法についてご説明しております。
当日は多くのお客様にご聴講いただき、また数多くのご質問をいただいており、各企業の無人化・省人化への関心度、期待感の高さを実感できるものとなりました。ご聴講ありがとうございました。
本稿ではセミナーの概要について記載いたします。興味がある方はぜひご一読ください。
ランシステム無人化ソリューションの紹介
株式会社ランシステム 直営店舗管理課 係長 佐々木 一真
無人化・省人化の実現とその効果
自遊空間では一部店舗の無人化・省人化を図ったことで人件費の削減を実現しました。
昨今、無人化・省人化を目指す企業は多くなっていますが、当社は突然、有人から無人にしたわけではなく、セミセルフ化という省人化を経て無人化店舗を実現させました。
自遊空間で使用されているシステムのほとんどは当社が独自開発したものですが、無人化することを目的として開発されたものではなく、コスト削減や人材不足解消を目的として開発されており、結果として無人化を実現するに至っています。
なお、これらのシステムは無人化ソリューションとして企業様にサービス提供させて頂いています。
セミセルフ化、無人化を実現したことによる自遊空間での投資対効果は下図の通りです。
無人化・省人化店舗実現までの経緯(システム変遷)と効果
次に、セルフ化に至るまでの経緯をご紹介します。まず、流れは次の通りです。詳細はその後に続けます。
1)2007年:自動精算・自動入場ゲートを導入、のちに清掃解除端末を追加(高田馬場店)
2)2016年:QRコード鍵による完全個室(蒲田西口店)
3)2017年:入会業務の無人化(名古屋太閤口店→現在75店舗)
4)2018年:カウンターレス化(成増店→現在38店舗)
1)2007年:自動精算・自動入場ゲートを導入、のちに清掃解除端末を追加
2007年に自遊空間初の大規模店舗として開店したBIGBOX高田馬場店が始まりです。
大規模店舗であるため、多くの利用者があると想定した場合、カウンターを大きくしたとしても混雑を避けられないだろうと考えていました。そのため、カウンター業務を軽減することを目的に自動精算・自動入場ゲートを導入し、一部のお客様をセルフレジに誘導し、分散させることにしました。
また、開店後、ある程度たったころに清掃解除端末を開発し、設置しています。
それまでは席の掃除が終了したら、都度カウンターに戻ってシステムを操作していましたが、清掃解除端末が配置されたことでカウンターに戻る時間が不要になったため、より効率がUPしています。
スタッフのシフト体系やコスト削減効果等の概要は下図をご参照ください。
2)2016年:QRコード鍵による完全個室
当時のトレンドとして、完全個室を求める声があがっていたため、まずは蒲田西口店に導入しましたが、鍵の管理が課題に上がりました。
以前からあった女性専用エリアは、物理キーで管理していましたが、同じ運用にするとカウンター業務を軽減する目的でセルフ化させている意味がなくなってしまい、効率も悪くなります。そのため、鍵の管理をどのようにすればセルフ化に馴染んだ運用になるかをよく検討し、その解決策としてQR鍵を採用することにしました。
QR鍵は当初、入場時にシステムから発行される伝票に印字する形で運用してきましたが、伝票を紛失されるお客様もいたことから、会員証でも開錠できるように変更しています。
なお電子鍵はサービスセンターから遠隔で解錠できるようになっています。
3)2017年:入会業務の無人化
カウンター業務効率化を図っていく中で、既存の運用方法では入会手続きはどうしても対面が必要になってしまう、セルフ化に限界が見えてきており、どう解消していくかが課題になっていました。
そこで、2018年に入会手続き行う専用のセンターを設立し、全店舗の入会手続きをまとめて管理するようにしました。
4)2018年:カウンターレス化
入会業務の無人化が実現したことで、カウンター業務の効率化が進み、これまでに開発したシステムを用いればカウンターレス店舗が実現するのではないかと考え、2018年に成増店で実現しました。
仕組みとしては入り口に入会・入場用のシステムで手続きをし、退店時には自動精算システムでご精算頂きます。なお、入場から精算までのすべてをQR鍵で管理しています。
セルフ化・カウンターレス店舗実現で見えた課題・注意点
無人化・省人化を実現させたことで、有人店舗では見られなかった問題や課題が発生していました。
<課題>
1)受け身の接客によるクレーム
セルフ化を印象付けるためにスタッフの制服を、清掃員を彷彿とさせるもの(セキュリティ&クリーンスタッフと印字)に変更しました。その結果、スタッフの接客意識が下がってしまったようで、来店したお客様が困っていたり、質問されたりしても、利用方法などの説明を適切にすることができなくなってしまっていました。
2)セルフ化による売り上げ損失
入会方法や入場方法が分からなかったことで断念されたお客様が一定数おり、損失が発生していました。
3)トラブル発生時の問い合わせ方法がわかりづらい
<解決策>
顧客満足度向上のため、以下の対応を実施しました。
・無人店舗にクラウドカメラ「Safie」を導入し、店内を監視しつつ、問題が発生した場合にはサービスセンターから店舗スタッフに連絡、その後スタッフが対応するという対応に変更
・能動的にお客様に声掛けができるよう、遠隔接客サービスRURAを導入。
入会・入場手続き時などで困っているお客様やトラブルが発生しそうな場面で、事前に対応できるような仕組みにしました。
コロナ禍での店舗運営存続のための無人化対応
RURAを設置したころにコロナ禍となり、売り上げが低下傾向になったことで店舗を存続させるためにもさらなる削減が必要となりました。そこでこれまでに導入してきた各システムを組み合わせることで、完全な無人化時間帯を作ることが可能であると判断し、無人化・省人化による店舗運営を実現させました。
無人店舗を運営する中で発生した問題(例:清掃が必要な席が多い、フードの注文ができないことによる売上低下)を共有し、無人時間帯を固定せず、都度見なおすといったことを継続して行っています。
下図はこれらの段階それぞれで見られた効果をまとめたものになります。
ここまでお話した通り、日々の運営の中で発生した問題は当然ありますので、現在でも改善していく必要がある部分は多々ありますが、もし問題が発生したとしても、解決するのは無理だとその場に止まってしまうのではなく、今もっている対応の中で出来る解決策を模索し、日々改善していくことが重要だと考えています。
今回お話したのは当社の自遊空間での事例となりますが、当社が開発したシステムの中には、ネットカフェ以外の他業種で活用できるものもあります。ぜひお気軽にご相談頂ければと思います。
自遊空間で活用されるサービスの紹介:遠隔接客サービス『RURA』
タイムリープ株式会社 インサイドセールス/マーケティング 吉住大輔氏
遠隔接客サービス『RURA』は、店頭に置かれたモニター越しに遠隔地から接客できるシステムです。
スタッフからの声掛けはもちろん、お客様からの呼び出しにも対応ができるため、遠隔地にいても、店舗にいるスタッフの接客品質と変わらない接客をお客様に提供することが可能です。
自遊空間では、入退場のサポートや、お客様からのお問い合わせへの対応を行っています。
モニターに映るお客様の顔を見ながらの会話となるため、コミュニケーションが取りやすく、また、必要に応じて、画像や動画を共有して説明できるため、お客様にわかりやすく説明することができます。
接客までの流れはシステムがお客様の来店を感知し、遠隔地で待機しているスタッフに通知、必要なサポートを行います。詳細は画像をご確認ください。
RURAは小売店舗に限らず、官公庁、学校、コワーキングスペース、モデルハウスなど、幅広い分野で活用されており、最少人数でも最大店舗と同等の接客を実現します。
自遊空間で活用されるサービスの紹介:クラウド録画サービス「Safie」
セーフィー株式会社 マーケティング部 三冨綾希子 氏
(小売店舗向けビジネス向けのマーケティング担当)
クラウド録画サービス 「Safie」はPC、スマホを使っていつでもどこからでも、複数人が録画した動画を視聴することができます。ネットにつなぐだけの簡単設置にもかかわらず、インターネットバンキングと同等のセキュリティ基準を満たしているため、安心してご利用頂けます。
飲食店や小売店舗はもちろん、建設、製造、ハウスメーカーなど幅広い業種でご活用頂いています。
PCやスマホから契約しているすべてのカメラ映像を閲覧することが可能です。過去にさかのぼって映像を見たいときは、再生画面でドラッグするだけで簡単にさかのぼることができるため、無人時間に何が起きていたのかを簡単に見直すことができます。
また、複数のカメラの映像を一つの画面で表示することもできますので、店舗間での比較検証が容易に行うことができます。
自遊空間では、RURAのカメラでは見えない広域の部分を「Safie」でカバーしており、RURAでのご案内後に、お客様が困っていることが無いかなどの確認や、他店舗との比較を行うことで、店舗導線やオペレーションの更なる改善への取り組みに生かしていただいているようです。
昨今は小売業界のDXとして、映像を活用した現場DXにお役立ていただいており、APIやAI連携を進めています。
Q&A
セミナー中、数多くのご質問を頂きましたのでご紹介したいと思います。
・無人化にしたことで新規開拓損失はどの程度あったと考えているか。
佐々木)カウンターレスにした当初、入場処理を行った後に何名かのお客様が店内への入り方がわからず、利用料金が加算されてしまったケースが2、3件/日見られました。それを考えると、考えると5,6人/日の損失があったのではないかと想定しています。
・無人時間中のマナーの悪いお客様への対応はどうしているか。
RURAで確認できた場合は、入場できないような形にしています。そこで気づけず、中に入ってしまった方が問題を起こした場合には、警察や警備会社に対応してもらうようにしています。
・共連れ抑止措置は何かしているか。
店舗によって異なりますが、基本的に共連れが出てしまっている店舗では自動ドアの設定で、開閉している時間を短くしたり、ブザーを鳴らしたりといったことをしています。完全な防止になっているかといえばその判断は難しいですが、最低限出来る対策として行っています。
・無人化にしたときの勤務時間が減ってしまうバイトへの説明はどうしているか。
この説明が上手くいかないと一気にスタッフがやめてしまうので、決まった時点で早めに時間を取って一人一人に丁寧に説明し、問題が起きないように注力しました。この際、カウンター業務がなくなること、今後は清掃や機材のメンテナンスが中心の仕事になることも説明しています。
ちなみにこの変更を行った後、お客様から接客についてのクレームが入ったことがありました。これはスタッフが「自分は清掃員であり、接客担当ではない」と、接客意識が下がったために起きたように考えています。難しい部分ではありますが、説明する際は様々なことを想定して考えなくてはならないと思います。
・人がやっていた業務を遠隔接客することへのハードルとクリアするためのポイントは?
それまでは対面で、目線で感じながら説明できたところができなくなりますので、それが大きなハードルだったと思います。
自遊空間ではRURAの画像共有機能を使い、スタッフがどのお客様に説明しているのかという意識付けや、お客様のニーズに合わせた画像に切り替えて説明するように心がけています。最初は難しい場面は多くなりますし、お客様が何を知りたいのかを引き出す必要が出てくる場面も当然あります。RURAの機能を使った接客に慣れていくことが一番の早道だと考えています。
・複数店舗を見るために回線環境の変更などをしたか。
入会センターとサービスセンター専用に新たに専用回線を用意しています。
・RURA側の接客スタッフの教育はどのようにしているか。
重要なのは焦らず、スタッフができることをひとつずつ増やすこと、お客様を不安にさせず、待たせないようにすることを重視しています。
例えば店舗であれば、わからないことが出てきたときに他のスタッフが都度その人に説明できますが、遠隔だとそう上手くはいきませんし、待たせたり、あいまいな回答をしたりすればお客様は不安になります。そのため、自分が対応できない質問については、「担当者に変わる」と回答してわかる人物に交代するようにしています。
また、RURAの機能には店舗ごとにマニュアルを変えることができますので、事前に店舗ごとに違う点を責任者に一覧として提出させることで、店舗ごとの解答ができるような体制にしています。
・リモート対応をする人物の服装や身だしなみはどうしているか。
基本的には男性はスーツ、女性はオフィスカジュアルを心掛けるようにしています。
コロナ禍では会社の指示として、従業員はマスクを装着することを徹底していましたので、リモート担当者も当然マスクを装着していました。解除された後は難しい部分ではありますが、臨機応変に対応するようにしています。
・クレーム等のどうしても店舗で対応が必要時にはどう対応しているか。
対応できる人が不在な状況は有人でも起こりうる話ではあります。
自遊空間ではPCが使えないという問い合わせが多いのですが、そうした場合は他の空いている席への移動をお願いしています。
また、店長でないと対応できないようなケース、例えばお客様の忘れ物を金庫で保管していて、店長が不在で渡せないという時にはお客様の連絡先を聞いて折り返しの連絡をするようにしています。
どうしても即時対応が必要な場合は近隣に住んでいる社員に連絡して、対応が可能かを確認しています。対応できないことはもちろんあり得ますので、その場合は真摯に謝罪するしかないと考えています。
・無人にする時間帯をどのように決めたか。
入場や精算という人の流れがある時間を見て決めました。
これは変わることはもちろんありますので、そうした時には無人時間を変更したり、なくしたりと都度検討しています。
・無人時間帯の設備管理(トイレ、ドリンクバー維持)はどうしているか。
頻繁に管理が必要な店舗は基本的に無人にしないようにして、夜間利用が少ない店舗を無人にしています。
必ず無人運営にすることをマストとするのではなく、店舗ごとの事情を加味した柔軟な対応ができるようにしています。
◆ランシステムの無人化ソリューションについて興味がある方は以下をご覧ください。
『無人化ソリューションパッケージ』
無人化システム&リモート接客「リモートカサスpro」
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