2024年1月23日(火) 品川インターシティー で開催されたパネルディスカッションで私がお話しした内容に追加補足を加えレポートします。ディスカッション課題は、事前にSNSで募集した現場のリアルな悩みにお答えするものでした。
写真は、手前からパネリスト「ランシステム黒澤一秀、リコージャパン大久保実氏、ジーニーズ嶋尾基樹氏、ヤマハ鈴木俊太朗氏」、モデレーター「SCSK藤冨修平氏」素晴らしい方々とディスカッションできて楽しかったです。機会があればまたやりたい!
■ディスカッション課題1
無線LAN アクセスポイントのリプレースを検討しており、Wi Fi 6/6E にすべきか、安価なWi Fi 5 にすべきか迷っています。
お客様の要望に合わせて、提案内容を変えています。例えば、e-sportsのお客様のLANは10ギガ、マルチギガ(5ギガ、2.5ギガなど)の環境が当たり前になってきています。このようなお客様にはWi-Fi6をご提案します。e-sports会場で、ギャラリーのお客様が多数入られるスペースには、Wi-Fi 6 対応・トライバンド(最大端末数500台)のWL413を配置し、その他のエリアはWi-Fi6のエントリーモデルWLX222を配置します。
NTTの光クロス、ソニーのNUROなど、10ギガ、マルチギガのインターネット回線を安価に利用できるようになり、サービスエリアも拡大しています。10ギガ対応のルータRTX3510、RTX1300、10ギガビット/マルチギガビットスイッチSWXシリーズのラインナップも充実しており、オールヤマハでネットワークを構築できるメリットは大きいと思います。また、新たに発表されたWi-Fi 6/6E対応ミドルレンジモデルWLX323、WLX322も注目しています。
▼実際に会場に展示されていたWLX323、WLX322
一方、病院、介護施設、飲食店など、限られた予算で、広いエリアカバーしたい、IoT機器のような通信量が少ない機器接続が目的のお客様の場合は、安価なWi-Fi5対応のWLX212を多数設置し、カンファレンスルームなど接続端末数が多くなるエリアはWi-Fi6対応のWLX413、WLX222 を設置するようなメリハリをつけた提案をします。
■ディスカッション課題2
無線のエリア設計は、現場でどのように考えています?
▼無線APから電波の飛び方を測定(サーベイ)したヒートマップ
予算の都合や、運営中の施設で、サーベイができないケースが多くあります。その場合、壁の素材なども考慮して電波がどの程度通るか推測してAP位置を決めます。現場経験でどの程度電波が飛ぶか、なんとなく分かるような気がします。本当は、電波が見えるメガネがあればいいなーと思います。
無線のエリア設計をする上で重要な要素の一つに、アンテナ指向性という要素があります。機種によって電波の飛び方が違うため、事前に癖を知っておくことが大切です。また、広く電波を飛ばしたいときは天井設置が良く、新機種(WLX323/WLX322)が天井設置環境に適したアンテナ指向性に対応した点が良かったと思います。また、WLXシリーズのマニュアルは充実しており、機種ごとのアンテナ指向性や設置方法などの説明もしっかり示されています。
とはいっても、リアルな現場でどうしても困ってしまうことがあり、そういった課題を解決してくれる、WLX100シリーズみたいなものがあるといいなーと思いました。LAN工事が困難なエリア、工事完了後にどうしても電波が弱く、もう少し電波を延長したいようなことがあります。WDSリピータ機能に特化した機器や、有線LANポートしかない機器を無線LAN接続させたいなど、高い性能は求めず、割り切って使うようなものまでヤマハで構築できるといいなー。と思います。
■ディスカッション課題3
「Wi-Fiがつながりにくい」解決に時間がかかってしまう、現場でよくあるトラブル、解決方法
自分自身の経験をもとに、ヤマハのWLXシリーズのチューニングポイントをできるだけ具体的にお伝えします。実際は環境合わせて調整が必要です。以下の内容は参考に、あくまで自己責任でお願いします。
(1)無線通信平滑機能は基本ON設定
同じAPに接続されている転送速度が遅い端末の影響を受けて、他の端末の転送速度が遅くなることを防ぐ機能
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/AP/docs/wlx322/ate.html
(2)バンドステアリング機能は基本ON設定
同じSSIDで、2.4GHz帯と5GHz帯がある場合、電波干渉が比較的少ない5GHz帯で通信するようにする機能
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/AP/docs/wlx322/band-steering.html
(3)Radio Optimization機能は基本OFF設定
私は今のところOFFで使っています。(ONにすることで調子が悪くなることがあった)
進化する機能だと思うのでヤマハがファームウェアを進化させてくれることに期待します。
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/AP/docs/wlx413/radio-optimization.html
(4)チャンネル幅は狭く設定
チャンネル幅は狭くした方が電波干渉やDFSの影響を受ける可能性を減らせます。
私は、2.4GHz帯は20Hz幅、5GHz帯は40Hz幅で調整することが多いです。
電波は概ね同心円状に広がります。隣り合ったAPのチャンネルが重ならないようにチャンネルをずらして構築します。チャンネル幅を狭くした方が使えるチャンネル数を増やすことができるので、隣り合ったAPのチャンネルをずらして、同じチャンネルの電波が重ならないようにエリア設計できます。
(5)【新機能】適用型ローミング アシスト機能(WLX323、WLX322搭載)
エリアを移動しながらWi-Fi端末を使う場合、遠くの弱い電波のAPにつながりっぱなしなると通信が不安定になります。近くのAPに移動することをアシストする機能で、私が待ち望んでいた機能が搭載されました。この機能が付いたことで医療の現場などで使われるスマホ活用のIP電話など移動しながら使うデバイスの無線LANとしてヤマハの選択枝が出てきます。この機能を早急に試して知見をためようと思います。
https://www.rtpro.yamaha.co.jp/AP/docs/wlx322/adaptive-roaming-assist.html
(6)【将来の夢機能】AI活用(現段階では私の妄想 笑)
なんだかんだ言って、無線のチューニングは難しいのでアドバイスが欲しいのが本音。私自身、障害を経験してどのようにチューニングすると改善するか試行錯誤して設定していますが、せっかくYNOがあるので、様々な情報(WLX、RTX、SWXの情報)をYNOでクラウドに集約してAIがチューニングポイントのアドバイスをくれる。もっと未来は、AI自体が最適なチューニングを自動で行う世界が来るかもしれない。
以上