黒澤一秀のコラム「ヤマハ無線アクセスポイントWLX212クラスター管理機能の活用事例」

以下はSCSK株式会社より許可を得て期間限定で掲載しています。

目次

ヤマハ無線アクセスポイントWLX212クラスター管理機能の活用事例

今回はスペースクリエイト自遊空間にWLX212を導入した事例を紹介します。自遊空間は全国に150店舗以上展開しているネットカフェで店舗によっては100台以上のパソコンが設置されております。店内のネットワーク構成は、高速インターネット回線への接続にヤマハルータ、店内の各エリアにはスイッチングハブが設置されており有線LANでパソコンが接続され、同一LAN内に複合機(MFP)やサーバーが接続され各種サービスを提供できる構成となっています。構成を見ると一般的なオフィスの構成に類似しており、オフィスに無線LANの増設を検討されている方は、そのままオフィスに置き換えてイメージできると思います。

無線LAN増設のポイント

WLX212のクラスター機能を活用することで、効率的に無線LAN環境を拡張することができました。特に以下の点を意識してネットワークを設計しました。

既存環境に影響がないようにする

ネットワーク断ゼロ、パソコン、サーバー、複合機等の変更作業なし

  • サービス停止に伴う損失ゼロ
  • 影響がないので実施するスケジュールが立てやすい
  • 作業コスト、トラブル発生リスクが最小限になる

既存環境(資源)を最大限活用する

  • 店内サービスを提供するサーバーや複合機は無線LAN環境からも利用可能
  • 既存のLAN配線を活用し最低限の配線でWLX212を設置する

ヤマハルータのコンフィグを工夫

既存サブネット192.168.0.0/24(有線LAN) のIPアドレス枯渇を防ぐ事と、既存ネットワークへの影響を避けるために、新サブネット10.250.1.0/24(無線LAN)を新設することにしました。この新サブネットをヤマハルータのセカンダリIPアドレスに設定することで、店内に張り巡らされたLAN配線をそのまま活用しWLX212を配線することができます。(VLANハブへの入替や設定変更なども不要)ただし、この構成を実現するためには無線LAN接続機器に対して、新サブネット10.250.1.0/24のIPアドレス帯をDHCPで提供する必要があります。ここでWLX212のクラスター管理機能を用い仮想コントローラーからDHCPサーバー設定をすることで非常に簡単に無線接続端末用DHCPサーバーを内包した無線ネットワークを構築することが出来ました。

ヤマハルータのコンフィグサンプル(WLX212の導入前後のコンフィグのdiff)

有線LANと無線LANのネットワークをルータで管理できるので、ネットワーク間のアクセスコントロールも可能です。

WLX212の設定

WLX212の設定については、まず同一L2ネットワーク内に、WLX212を配置してクラスターを構築します。詳しくは、こちらをご覧ください。

・仮想コントローラー→設定→基本設定→クラスター設定

仮想コントローラーに固定のIPアドレスを設定しておくことで、常に同じIPアドレスから仮想コントローラーにアクセス可能になります。Master-APがどのAPかを意識する必要がなく、運用管理をよりスマートに行えます。

・仮想コントローラー→設定→基本設定→クラスターAP管理

4台でクラスターを組むと、1台がMaster-APとなり残りの3台がSlave-APとなり、以降 仮想コントローラーで設定を一元的に行う事になります。(仮想コントローラーはマスター上で動作しています)

・仮想コントローラー→設定→拡張機能→DHCPサーバー

DHCPサーバー機能は、「DHCPサーバー」を選択します。IPアドレスの範囲は、ルータ、WLX212、仮想コントローラーなどで使用しない範囲のアドレスを指定します。IPアドレスの払い出し先は、「無線接続端末にのみ払い出す」を選択します。不特定多数の端末接続が予想されるため、リース時間を少し短めの12時間に設定しました。仮想コントローラー上でこのように設定すると、Master-APのみがDHCPサーバーモード、その他のSlave-APがリレーエージェントモードとして動作します。そのためIPアドレスのリース元サーバーが集約され、IPアドレスの重複を避け、かつ端末がAP間をローミングした後も同じIPアドレスを使い続けることができるようになります。

まとめ

今回の構築のポイントは、WLX212のクラスター管理機能(仮想コントローラー)を使うことで、既存のネットワークへの影響を最小限にできたところです。オフィスには多数のパソコンがあり業務を止められないケースは多くあります。端末の設定変更不要、プリンタの設定変更不要(プリンタのデフォルトゲートウェイの設定は適切に行われていることが前提)、VLAN構築不要、大規模なLAN配線不要。時間とコストを節約したネットワーク構築が可能です。

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