このコラムは元警視庁の刑事で、現在、自遊空間を運営する弊社ランシステムのCS室室長である青木が社内向けに発信しているものです。弊社では店舗の無人化・省人化ソリューションや遠隔接客を推進しておりますが、このサイトをご覧の店舗経営者やマネージャーの皆様にも有用なコラムではないかと考え、ご紹介いたします。
第11回:【職場のコミュ力向上】アサーティブになるための準備
これからの時代、高い成果を生む仕事にはチームワークとコミュニケーションがマストです。そこで、何回かに分けて「職場のコミュ力向上」 について、お話しようと考えています。
前回は、当社でも大切にしているアサーティブ・コミュニケーションスキルと、その活用方法についてお話しました。
今回はアサーティブになるための準備についてお話したいと思います。
■相互信頼の作り方
(1) お互いの意見が尊重されると信頼関係が生まれる
例えば、相手にとって耳の痛いことを言わなければならない時や、改善して欲しいことを伝える時など、相手に言いにくいことを伝える際には、「私は相手に分かるように伝えられる」という自分への信頼と、「この人は耳を傾けてくれる」と言う、相手への信頼の両方が必要です。
つまり、
「耳の痛いことを話したら、相手が自分のことを嫌うのではないか?」
「反発してくるのではないか・・・この関係性が崩れるのでないか・・・」
と思うこと自体、相手のことを信頼していないということになります。
相手によっては、嫌な顔をしたり、そのあとの関係性がこじれたり、反論してくる人も当然いるでしょう。
ただ、それでも心のどこかで、
「この人だったら分かってくれる」
「今後もいい関係をつくりたくて言っているのだから、耳を傾けてくれるだろう」
と相手を信じる気持ちが大切なのです。信頼の気持ちを持つことで、臆することなく相手に伝えることが出来るようになります。これがアサーティブ・コミュニケーションの相互信頼として、もっとも重要なポイントなのです。
(2) 上司がポジションパワーを盾にしていると、建設的な議論は生まれない
自分の意見を相手に伝えることは、人によって最初はなかなかハードルが高いことかもしれません。
いままでの自身の経験から、
「私はうまく伝えられた試しがないな・・・」
というネガティブな思いを抱いてしまうこともあるかもしれません。相互信頼の気持ちがなければ、本当に建設的な議論はできないのです。
心理的安全性は、
「皆で安心してなかよくしましょう」
というものではなく、
「これは改善して欲しい」 「これはやめよう」 「それは違う」
ということを、安心して議論できる環境に根づくものです。それには、やはり相互信頼と言う土台が必要になるのです。
職場で心理的安全性を叶えるアサーティブな空気をチームに浸透させていくには、先ずはポジションパワーのあるマネジメント層が実践することから始めてみましょう。
(3) 後輩や部下を叱るとき、上から目線はパワハラになる!
パワハラ防止法が施行されたことにより、叱るときにどうしたらいいのか、悩む管理職がますます増えてきているというニュースを新聞で目にしました。
一方で、表立って強い言葉を口にはしないが、
「どうせ、こいつには何を言っても分からない」
という相手への不信感や、
「こんなことをしでかして、とんでもないヤツだ」
と相手をバカにした気持ちを抱えながら話をしてしまっているケースもよく耳にします。このような気持ちは、相手側にも自然とつたわってしまうので要注意です。勿論、叱ること自体が悪い訳ではありません。相手の成長につながるように、意識と行動を変えるための指導として「叱る」ことが重要なのです。
この意識が無い為に、カッとなった瞬間、普段心の中で使っている言葉を無意識に口にしてしまい、
「お前は本当にバカだな!本当に使えねぇな!」
というような、とんでもない失言を職場でして、パワハラ問題を起こしてしまうというケースはたびたび見かけられます。
(4) 叱るときは、意識と行動を変えてもらうように伝える
上から目線で叱ったり、相手をコントロールしようとして関わった結果、変な反発心を抱かれたり、相手が心を開かなくなったりすることもよくあります。
このような問題が怒るとき、叱られた相手は
「この人は『どうせ、どうにもならない』と思っているよね」
「私のことを信頼していないし、無理にコントロール仕様としているのでは・・・?」
と受けとってしまいがちです。
部下や後輩を叱る目的は、問題行動を変えてもらうことではありますが、残念ながら、叱った直後にすぐに改善する事ばかりではありません。前回も伝えましたが、顔は心のスクリーンと同じと言われるように、同じような失敗を繰り返すたびに増していく「いったい、いつになったら改善するんだ!」という苛立ちや呆れた気持ちが、実際に口に出さずとも伝える側の顔や態度に出てしまいやすいものです。
(5) 叱りやすくするために、先ず褒める」という行為は、不信感につながる!
社内研修の質疑応答の時間に、
「叱りやすくするためには、最初に褒めることが大切ですか?」
「先に褒めた方が、叱ることを相手に受け止めてもらいやすいでしょうか?」
と質問されることがよくあります。
結論から言うと、これはアサーティブなコミュニケーションではありません。
自分が叱らなければならないことがあるときに、先に褒めておくという発想には、
「まず相手をいい気持ちにさせてから、自分のいう事を聞かせよう」
という意図が含まれているからです。例えば言うことを聞いて欲しいがために、
「〇〇さん、流石だね。ここがよくできているよね。だからこれは直してね」
という言い方をしてしまっていることはありませんか?
叱る前に、とってつけたように無理やり褒めても、相手は気持ちよく受け取れないものです。むしろ、相手をコントロールしようとする思いは、日頃の態度にもあらわれやすいので、言われる側の不信感はどんどん募っていきます。
するといざ本当に相手を褒めようとしたときに、
「この人はまた都合のいいことを言っているだけだ」
と受け止められてしまうことになるでしょう。これは避けたいところです。
コミュニケーションのすれ違いを防ぐには、
「〇〇さんいつもありがとう。助かった」
「こういうところは、〇〇さんの能力が発揮できるところだよね」
「以前よりも、こういうところがよくなっているよね」
といった相手への感謝の気持ちや、出来ているところに日頃から目を向けて、口に出して伝えるようにしましょう。
■さいごに
部下へフィードバックする際には、日頃からこれは良いと思っていたことを必ず伝えるようにしましょう。こうすることで、部下は上司が自分の良いところにも目を向けてくれているということが分かり、改善に向けた上司からの耳の痛い言葉もすんなりと受け入れやすくなります。その結果、上司と部下の間の信頼関係強化につながっていると考えています。
お知らせ:人手不足と添付運営を効率化する店舗の省人化・無人化ソリューションについては以下をご覧ください。
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