こんにちは、ランシステムのヒロ田中です。
近年、企業を狙うサイバー犯罪の中でも、ビジネスメール詐欺(BEC)の被害は拡大の一途をたどっています。IPA(情報処理推進機構)も注意喚起している通り、これは単なる迷惑メールではなく、経営判断や業務フローそのものを狙う攻撃です⚠️
そして最近、特に増えているのが
「社長名義のメールを起点に、LINEグループへ誘導する手口」です。
「社長からのメールだから対応した」
──それが、最初の分岐点でした📱
実際に確認されている文面の一例をご紹介します。
作業手配の都合により、メール受領次第、会社のLINEグループを作成してください。
・グループ作成後、暫定的に他のメンバーを招待しないでください
・作成完了後、当該グループのQRコードを本メールアドレスに返信してください
今後の作業プロセスが円滑に進むよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
【社長名義】
一見すると、業務上ありがちな依頼です。
しかし、ここにはBECの要素がすべて詰め込まれています。
なぜ、このメールは危険なのか
① 差出人名は「社長」、だがアドレスは別物
表示名だけを見ると、社長本人。
しかし、よく確認すると社内ドメインではないメールアドレスだった、というケースがほとんどです。
BECでは、
「名前は本物・中身は偽物」
という偽装が常套手段です。
② 「他のメンバーを招待しないでください」という指示
この一文は、業務効率のためではありません。
相談・確認を封じるための明確な意図があります。
- 同僚に聞かれない
- 上司に確認されない
- 一人で判断させる
これは、人のミスを誘うのではなく、
人が正しい判断をできない状況を作る設計です。
③ QRコード返信は「次の被害フェーズ」への鍵
LINEグループのQRコードを渡すという行為は、
攻撃者に“正規メンバーとしての入口”を与えることを意味します。
その後は、
- 社長アイコンでの送金指示
- 口座変更依頼
- 機密情報の提出要求
といった、本格的なBECがLINE上で展開されます。

なぜ、冷静な人ほど引っかかるのか
BECは、ウイルス感染やシステム侵入ではありません。
本質は、人の心理を突く詐欺です。
- 「社長からの指示は断りづらい」
- 「極秘・至急と言われると急いでしまう」
- 「LINEで業務連絡することが当たり前になっている」
リモートワークやスマホ業務の普及により、
ビジネスとプライベートの境界が曖昧になった今だからこそ成立する攻撃と言っても過言ではありません。

IPAが示す答えは「多層防御」🛡️
IPAは、BEC対策として
単一の対策に頼らない「多層防御」を強調しています。
① 啓発・教育
- LINE誘導型BECの具体事例を共有する
- 「社長名義でも疑ってよい」ことを明文化する
② ルールの策定
- 個人LINEでの業務グループ作成を禁止
- 送金・口座変更・グループ新設は必ず別経路で確認
- 「他人に相談するな」という指示は即エスカレーション
③ 技術的対策
- なりすまし検知・メールフィルタリング
- セキュリティソフトの導入
- ログ監視と早期検知体制
重要なのは、どれか一つでは不十分という点です。
守るべきは「疑う文化」ではなく「守り合う文化」

セキュリティ対策は、
ツールを入れて終わりではありません。
- 「これ、確認してもいいですか?」
- 「少し怪しい気がします」
そう言える心理的安全性が、
BECに対する最後の防壁になります。
- BECはメールからLINEへ拡張している(QRコード共有は高リスク)
- 個人の注意に依存せず、プロセスで防ぐ「多層防御」が必須
- 「確認する文化」を作ることは、経営者の重要責務である
スマホ一台から始まる被害だからこそ、
組織全体で築く「見えない壁」が今、強く求められています🛡️
