【店舗無人化成功の仕組みと投資対効果解説】現場のDXを実現するポイント~少人数または無人で収益を上げた事例解説~(2022年10月12日開催レポート)

2022年10月12日(水)、株式会社ランシステム システム外販部主催、タイムリープ株式会社協賛の「【店舗無人化成功の仕組み】現場のDXを実現するポイント~少人数または無人で収益を上げた事例解説~」がオンラインで実施され、盛況のまま終了いたしました。コロナ禍による需要の不安定さや人員確保の課題、物価の高騰による収益性のひっ迫などもあり、店舗系のビジネスをされている法人の皆様の店舗無人化への関心の高さを感じるところとなりました。

本セミナーでは、ランシステム システム外販部の田中守氏、直営店舗管理課の佐々木一真氏よりランシステムの無人化ソリューションについて、自遊空間の店舗運営のリアルな話を、ランシステム システム外販課の荻野正之介氏より無人店舗導入の事例紹介を、そしてタイムリープ株式会社望月亮輔氏を含めての無人化とリモート接客の現場について、パネルディスカッションを実施しました。

本稿ではセミナーの概要について記載いたします。ご興味がある方はぜひご一読ください。

目次

ランシステムの無人化ソリューションの紹介

上、講師:ランシステム 直営店舗管理課 係長 佐々木一真氏
下、講師:ランシステム システム外販部 部長 田中守氏

まずは、ランシステムで提供している無人化ソリューションについての概要をお伝えいたします。

無人化ソリューションはこの7つのシステムの組み合わせで実現します。これにより運営コストの大幅削減、人材不足解消が実現できるシステムです。

もともとは、自社で運営しているインターネットカフェ自遊空間のセルフ化、無人化を実現するために社内で作っていたシステムや仕組みでした。それをパッケージ化したものがこの無人化ソリューションです。

この7つのシステムですが、全てフルパッケージで使っていただくこともできますし、部分的な導入も可能となっていますのでお客様のご状況に応じて利用が可能です。

こちらが自遊空間でこの無人化ソリューションを導入した際の投資対効果です。これは都内の駅前店舗の実例ですが、完全無人運営まで進むとひと月あたり195万円の人件費の削減が実現できました。投資の回収についても8ヶ月で回収できています。

それではここからは、ランシステムがどのようなステップで完全自動化の無人化ソリューションを作るに至ったのかをお話していきます。

最初はこの高田馬場店からでした。当初の課題として、一般的な既存店舗の3倍程の規模になりまして、カウンターでお客様をさばききれなくなっていました。なるべく人件費を増やすことなく解消したいということで、店舗側のメンバーが社内で相談したところから始まっています。

そこでまずは、店舗デザインから見直しまして、もともと対面カウンターだったところからアイランドカウンターを採用しました。そしてゲートや機械を用意して、お客様がセルフで入退場できるような仕組みを作りました。当時は自動精算機のパッケージサービスもなかったため、釣銭機を活用してソフトウェアは自社開発をしていました。

実際お客様の反応を見ていても、操作方法を案内すれば2回目以降は概ね問題なくお客様だけで利用ができていました。

そして次がQR鍵です。

完全個室の需要が高まっており、QR鍵は新規店舗のセミセルフ店に導入をしました。

もともとの課題が鍵の管理方法でして、物理的な鍵は受け渡しのためだけにカウンターでスタッフが対応しなければならず、また紛失の対応もあるため全く別の方法を検討していました。

そこで新たに開発したのがQR鍵でした。お客様ごとに発行される二次元コード(QR)を入り口の機械にかざすことで鍵として使えるためお客様の利便性も増したと思います。更にPOSとも連動するため、お客様の管理もとてもスムーズになりました。トラブル対応という面でも、室内の忘れ物対応などトラブルに関しては、自遊空間のセンターからリモートで鍵解除も行えるためスタッフが店舗に常にいる必要がなくなりました。

そして次が入会業務の無人化です。

これは、もともとセミセルフ店として運用していた名古屋の店舗ですが、多層階の店舗という特徴がありました。無人化の大きなハードルの1つが入会対応で、今までは新規入会の際に本人確認書類を目視で確認するというオペレーションでしたので、ここを解消する必要がありました。

そこで、リモートで本人確認作業ができる仕組みを作りました。

具体的には、新規入会希望者は店頭で本人確認書類を提示し、センター側の担当が目視確認をするという流れを採用しています。端末やソフトウェアはこちらも既存のものがなかったため自社開発をしています。

これによって、リモートでの本人確認業務ができるようになり、専用端末から会員証の発行もできるようになりました。

また、入会の際の端末操作ですがお客様自身で行うのは名前などの入力に絞り、住所の入力等についてはセンターにて行うようにするなど役割を切り分けて運営しています。

次がカウンターレスです。これで全てがセルフ化されるようになります。

自遊空間では、完全セルフ運営の場合は有人カウンターも無いため、人件費をセミセルフ運営と比較しても半数に減らすことができています。その分スタッフの雇用も少なく済みます。

これが自遊空間のカウンターレスの店舗で、全て端末操作で行い、お客様の二次元コード(QR)を店舗入口のスキャナーにかざすと店内に入れる仕組みとなっています。精算機ももちろんセルフレジです。

ここまでで無人店舗が実現したのですが、カウンターレス店舗ではいくつかの課題がまだ存在しました。

ここについては、スタッフが対応しなければ行けないところではありますが、どのようにして無人店舗で実現するかを検討した結果、遠隔接客のRURAを導入することになりました。

RURAによって、お客様は専用モニターにて自遊空間のサービスデスクとリアルタイムで会話ができるようになります。更にこのサービスデスクは複数店舗の接客ができるためお客様に合わせた詳細な案内を効率的に行えるようになりました。遠隔で操作をしながらサポートが可能なため、お客様のほうで困った素振りがあったらサービスデスク側からお声がけもしています。

現在自遊空間では、サービスデスク1人で現在は29店舗を管理できるような体制になっています。

今までは経費削減や人件費削減が目的でしたが、売上を伸ばしていくため、接客の質を上げていくための施策としてRURAを活用しています。

RURAを導入してからですが、サービスレベルを低下させることなく、カウンターレス店舗を実現できました。更に、無人の時間帯を作ることにも成功しています。

ここまでの話をまとめるとこのようになっています。

今回は、自社の事例としてネットカフェの自遊空間のケースを紹介しましたが、セルフレジや無人受付は様々な業種での展開も可能ですので、お気軽にご相談ください。

無人化ソリューション導入事例の紹介

講師:ランシステム システム外販課 課長 荻野正之介

ここからは、無人化ソリューションについての導入事例を紹介していきます。

フルパッケージで利用しているのが自遊空間ですが、その他にもNetCafe CoCoNe様も無人化ソリューションのフルパッケージをご導入いただいています。

その他、ネットカフェと近いコワーキングスペースのWORK COURT 渋谷松濤様はカスタマイズの上で導入をしています。例えば、セルフ入退場管理、会員登録、電子契約サービス連携、クレジットカード連携、会議室予約などです。

そして、快活クラブ様は現在60店舗に導入いただいており、既存のPOS連携や無人入会の仕組みの導入などにより、店舗人件費の削減と現場の効率化を実現しました。

このように、無人化ソリューションは店舗ビジネスを行っている様々な企業様でご利用いただいております。気になる事例やご相談がございましたらぜひご相談ください。

【パネルディスカッション】無人化とリモート接客の現場について

モデレーター:黒澤一秀(ランシステム)、吉政忠志氏(吉政創成)

パネリスト:望月亮輔氏(タイムリープ)、田中守(ランシステム)、佐々木一真(ランシステム)、荻野正之介(ランシステム)

司会:ヒロ田中(ランシステム)

黒澤:自遊空間が無人化・省人化をするためにシステムを開発し店舗運営の合理化を進めてきたわけですが、無人化だけでは賄えない課題、人手を欠けたほうが良い点についてRURAを提供しているタイムリープ株式会社の望月様にもご参加いただき、ディスカッションができたらと思います。

市場背景について(株式会社ランシステム 黒澤氏)

ディスカッションの前に、今の市場背景をお話いたします。まずはなんといっても人手不足の深刻化です。ウィズコロナの今、どのように店舗運営をしていくのかがこれからの働き方になるのではないかと思います。

特に、サービス業については非常に多いため有効な対策をしっかりとっていくことが求められています。

リモート接客とRURAについて(タイムリープ株式会社 望月氏)

タイムリープ株式会社は、遠隔接客サービスのRURAの開発、提供をしている企業です。RURAは自遊空間様を始めとして、様々な企業様でご利用いただいております。

RURAの活用が進んでいる背景については、まさに今回のセミナーのテーマとも近いところで、店舗における人手不足や労働環境、コスト削減などがあります。コストは削減したいけれども売上と顧客満足度は保ちたい、という需要に対応できるのがRURAと言えます。

RURAはこのように遠隔で社内のスタッフがサービスを行う体制になっており、これはスタッフ側で見えている画面です。

RURAの導入事例についても1つ共有させていただきます。Casa Robotics様でモデルハウスの接客についてです。モデルハウスの内覧をする際に営業スタッフが移動しなければならず、すぐ対応ができない、仕組み化ができていない、という課題をお持ちでした。そこで遠隔接客のためにRURAをご利用いただいたところ、現地の営業マンよりも2倍売れるような成果が出ています。

パネルディスカッション

黒澤:それでは、ここからはパネルディスカッションです。まず1つ目のテーマです。『無人化・省人化(DX)が進む店舗とそうでない店舗の違いは?何がハードルなのか?そのハードルをクリアするためには何をすべきか』。パネリストの皆様はいかがでしょうか。

田中:いわゆるDXと言っても色々ありますよね。ハードルもそれぞれですので違いをうまいことクリアするようなやり方をすべきだと思います。自遊空間でも入場機械の場所や導線を変えるだけでも大きく影響がでました。お客様と現場の密なコミュニケーションも重要ですし、オペレーション側はお客様の行動や状況等の情報からどういう改善ができるのかを常に検討していく動きが必要だと思います。

望月:「なにか変えなきゃ」と思っているかどうかが重要だと考えています。早く着手をして、自社のいい形を作り上げていこうという気持ちがあるかどうかですね。PDCAの速さとどれだけオペレーションの改善サイクルを回せるかがハードルをクリアする鍵だと思います。

荻野:「次のステップ」という考え方でしょうか。コストとして考えられるもの、お客様が求めているものの平準化を行うための動きをしているかが一歩ではないかと思います。

佐々木:店舗で働いているスタッフといかに意識を統一できるか、遠隔で接客をしているスタッフの想いと、現場で接客しているスタッフの想いを把握して、みんなが同じ方向を向いていることがポイントだと思います。デジタルと言っても最後は人の繋がりですから。

黒澤:続いて、2つ目のテーマです。『労働者減少、高齢化社会の店舗・施設運営について今後どこを目指していくべきか?』こちら皆さんいかがでしょうか。

荻野:今や携帯電話を所有している割合が90%を超えている状況です。これから進化していく中でシステムを活用した無人化や省人化は、時代に合わせてもてなしの形が変化している状態だと思っています。

佐々木:新しい仕組みをいかにして高齢の方に使っていただくかが重要です。ある程度セルフで機械は使っているもののどうやってそれを浸透していくのかをしっかり考えていくことですね。

望月:若者はデジタルネイティブですから、世代ごとに体験、UXは全く異なってきます。どういったターゲットの店舗なのかをより意識していく必要があると考えています。幅広い世代にまんべんなくいい体験を提供するのがベストですがここにたどり着くにはまだまだ時間がかかってしまうのではと思います。

田中:自遊空間ですと、若い世代のほうが無人システムの反応が良いですし受け入れられやすいです。RURAは顔を見て会話できるというインターフェースは高齢者にも受け入れられるのではないかと思いますし、場所の限定もなくなるのでとても望ましい仕組みだと考えています。リモートならではの利点としては、例えば会話をする際に字幕を出すことで耳が聞こえづらい方にも対応することもできます。とはいえ、はじめの取っ掛かりが一番難しいと感じています。この取っ掛かりができてしまえば後はなんとかなるので取っ掛かりをどうするかですね。

黒澤:みなさん、ありがとうございます。最後に皆様から一言ずつお願いします。

荻野:無人化・省人化についてお困りの場合グラデーションを持って提案できますのでお気軽にご連絡ください。

佐々木:ネットカフェ以外の部分でも興味のあることがあればまずはご相談ください。

田中:無人化システムのご利用について、また実際にエンジニア的な立場での相談も歓迎です。

黒澤:皆様、本日はパネルディスカッション本当にありがとうございました。

Q&A

Q1. 紹介いただいた企業様の他に、RURAがターゲットとしている業種業態はありますか?

A1.(望月)今一番効果を発揮しているところですと、オペレーションカットで見ています。ビジネスホテルとカラオケ業は、実はあまりオペレーション的に変わらないので、受付が固定されていて接客するような仕組みのところであればフィットが高いといえます。

Q2. 無人化ソリューションについて、相性のいい導入先などはありますか?

A2.(佐々木)カウンターオペレーションがあるところで、実はカウンターがなくても完結できるところがフィットしています。例えば、コンビニ、図書館のカウンターなどですね。

Q3. 自遊空間のご実績から、お客様の導線が固まるまでは時間はある程度かかりますか?

A.(田中)そうですね。お客様が途切れない方が導線は固まりやすいのである程度の時間や数が必要です。一度導線が固まればあとは楽です。カウンターにスタッフがいるとどうしてもお客様はそこにいってしまうので、人の動きをしっかり確認して改善していくのが重要です。場合によってはカウンターレイアウトを変えるような施策も有効だったりします。

Q4. 鍵を制御する仕組みについて、特定の場所だけ入れるようなことは可能でしょうか?

A. (田中)はい。POS側と連動しますし、連携もできるから対応可能です。

Q5. 遠隔接客と対面接客との違い、気をつけることは何でしょうか?

A. (佐々木)お客様の目線が遠隔接客だと分かりづらいのでいかに引き出すかという部分だと思います。自遊空間では、遠隔接客の場合話すタイミングなどにも気をつけています。

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