このコラムは元警視庁の刑事で、現在、自遊空間を運営する弊社ランシステムのCS室室長である青木が社内向けに発信しているものです。弊社では店舗の無人化・省人化ソリューションや遠隔接客を推進しておりますが、このサイトをご覧の店舗経営者やマネージャーの皆様にも有用なコラムではないかと考え、ご紹介いたします。
その第1回は「おもてなし」です。興味がある方は是非ご覧ください。
今年もいよいよ押し詰まってまいりました。
今回は、私達サービス業にとって誰しも理解して実践して欲しい『おもてなし』について、下記のとおり短い事例を取り上げて、皆様にお伝えしたい適切なフレーズをお話させて頂きます。これらのフレーズは職場でのコミュニケーションにも大変有効です。コミュニケーションは血流です。血流が滞ると会社や店舗は病気になってしまいますので、是非一読してください。
好きも嫌いも、愛情も憎しみも、相手に対する「感情」を表した表現です。どれも、相手に関心があるからからこそ抱く感情ですよね。そういった意味では、「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」という言葉です。
あの有名なマザーテレサも『愛の反対は無関心である』と言っています。自分に関心のない人(上司・同僚)の為に心から動く人(部下・同僚)はいませんので、注意して下さい。
相手に関心のない状態で発した言葉は、文字通り感情が伴わないため、気付かぬうちに相手を不快にさせている可能性があるわけですね。
例えば、店舗において、同じ「いらっしゃいませ!」でも、清々しいものから、そうでないものまで。言葉には、必ず気持ちが乗っかってきます。これは本社における朝の第一声の挨拶『おはようございます』の一言も同じですので注意が必要です。
そもそも、『おもてなし』という言葉は、「もてなし」に丁寧語「お」を付けた言葉であり、その語源は「モノを持って成し遂げる」という意味だそうです。また、「おもてなし」のもう一つの語源は「表裏なし」、つまり、表裏のない「心」でお客様をお迎えすると言う意味が「表無し」⇒「おもてなし」と変化したという説があることを、私のCS研修で、何度も伝えてきました。
これは、お客様とお話するときはもちろんのこと、親しき仲にも何とかです。職場の同僚ともこれからお伝えする『おもてなし』の4つの事例から、適切なフレーズを頭の片隅に入れて参考にして下さい。
先ず始めは、私が聴講した講演会でのある出来事から紹介します。
講師は30歳前後、容姿端麗な女性。講師が所定の位置に付こうとした時、前列に座る男性が場を和ませようと「講師の先生がとてもきれいで嬉しいです」と一言。
この時の講師の返した言葉が素敵でした。
『講師を元気づけようとしてくださってるんですね。
お心遣いありがとうございます。』
というフレーズでした。
褒められた人が優れているのではなく、褒めた人が心優しいという考え方に基づいた講師の発言に私は感動しました。
普通は「いやぁー」や「やめてくださいよ」と反応しそうなもの。言えそうで言えないセリフですね。おもてなしの心を教えてくれた女性講師のフレーズでした。
2つ目は、本社オフィスでの一コマを紹介しましょう。
ある女性社員が、手書きの報告書類を作成している男性社員に向かって一言。
『○○さんって、何でそんなに字がお上手なんですか?』
普通に「〇〇さんって、字がお上手ですね」と褒めてしまうと、相手の反応は決まって
「そんなことないですよー」で、会話は終了ですね。「字」に限らず、相手の何かを褒める際、上司は特におさえておきたいフレーズです。
例えば、笑顔が最近良くなった店員さんには、
『○○さん、最近笑顔が良くなったね!何か努力しているの?』
と必ず、上達した店員さんは何か見えない努力をしているものなので、そこに関心をもってあげるフレーズに心掛けることが大切です。
3つ目は、初対面の相手との趣味についての会話の事例です。
例えば、自分は野球が好き。できれば野球の話で盛り上がりたい。でも相手が野球を好きか分からない。そんな時の一言。
『ひょっとして、○○さんって、野球とか好きですか?』
または
『○○さん、野球好き…じゃないですよね?』
普通に「野球は好きですか」との違いは、声に出してみると分かりやすいと思います。
好きじゃなかった場合の空気が明らかに異なってきますよ。これは営業での商談時にも覚えておくと宜しいかと思います。
最後に紹介するのは、私が毎朝立ち寄る、行きつけのコンビニにての1コマです。
何てことない一言ですが、なかなか言えない一言ですよ。
『いつも、ありがとうございます。今日もお仕事がんばってください!』
照れ臭さもあります。でも心地いいものです。「今日もお仕事~」に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、「いつも」は思いのほか響きます。だから「行きつけ」なんですけどね。
ある心理学者は、『人はまた行きたくなるお店の条件として、自分が行くと店員が喜んでくれるという実に単純な動機がある。』と説いています。
事実、私はこのフレーズを店員に笑顔で言われる度に、決まって明日も再来店したくなります(笑い)。
自遊空間の店舗においても、常連様が来店された際には、満面の笑みで・・・
『いつもありがとうございます。』
とか
『お疲れ様です。今日はいつもより早いですね。』
の一言が、想像以上にお客様の心には響いているものです。CS研修では、これらフレーズの前に「あっ」とか「わぁ」とかの「感嘆符」をつけて、半歩前に出ながら言うと更に効果が倍増することをお話しています。例えば・・・
『あっ!○○様、お久しぶりです。』
と半歩前に身を乗り出しながら言うことで歓迎の気持ちが更に相手に響きます。
そう、『感嘆符』を付けるだけですよ!『カンタン(簡単)』でしょう(笑い)、是非実践してみてください。
それでは、気ぜわしい毎日な上に、折からの寒さです。くれぐれもご自愛くださり、 皆で良い年を迎えましょう。
以上