【イベントレポート】SonicWall Elevate on the Road 2025 Tokyo 参加レポート

― マネージドと統合で変わる!次世代セキュリティ運用の最前線 ―

SonicWallが描く「次世代セキュリティ運用」の方向性が明確に示された――。 2025年11月に東京で開催された「SonicWall Elevate on the Road 2025 Tokyo」は、単なる製品発表の枠を超え、運用変革のビジョンを提示する戦略イベントとなりました。 テーマは「統合・マネージド・AIによるセキュリティ運用変革」。 本記事では、イベントで語られた最新戦略と注目事例、そして今後の展望を紹介します。

目次

インシデントの60%を削減へ ― マネージドセキュリティの本格始動

SonicWallが示した方向性の中で最も印象的だったのが、「運用の最適化こそ最大の防御」というメッセージです。多くの企業で、インシデントの約60%は設定ミスや運用不備が原因とされており、これを解消するために同社は“運用をサービス化する”体制を強化しました。

注目のマネージドサービスは以下の2種です。

MXDR(Managed Extended Detection and Response)

Endpoint・Cloud・Networkを横断的に監視し、SOC/NOC連携も視野に入れた拡張MDR。日本語サポート付きでの提供が予定されています。

MPSS(Managed Protection Security Suite)

Firewallハードウェアと連携し、48時間以内のパッチ対応、設定管理、一貫したレポート提供を実現。パートナー企業のTier1技術者リソースの最適化を目指す構成です。

これらの取り組みは、限られた人員で高度なセキュリティ体制を維持する企業にとって、実務的な支援となるはずです。

AIと統合管理で実現する次世代セキュリティ運用

次に紹介されたのは、統合管理とAI活用による運用効率化です。SonicWallは、展開・監視・管理・レポートを一元化する統合プラットフォーム構想をロードマップの最優先事項に掲げています。

対話型AIアシスタント「SAMI」

新登場のAIアシスタント「SAMI」は、対話形式で脅威情報を照会し、設定支援まで行う機能を持ちます。将来的にはAIが自動的に最適ポリシーを提案・生成する構想も示されており、AIセキュリティ運用が実装段階に入ったことを印象づけました。

リモートアクセスの新潮流「Cloud Secure Edge(CSE)」

CSEは、SWG・CASB・ZTNA・VPNaaSをクラウド側で統合提供し、従来のSSL-VPNに代わるソリューションとして注目されています。第三者アクセスやデバイストラスト対応を視野に入れ、より柔軟なゼロトラスト(Zero Trust)運用を実現します。なお、日本語化は今後の対応が予定されています。

東大・東映の導入事例に学ぶ「現場のリアル」

現場の声として紹介された2つの導入事例は、SonicWallの実力を裏付けるものでした。

東京大学大学院 新領域創成科学研究科
3か月の短期間で、Cisco CatalystからSonicWall NSSP 10700冗長構成へ移行。VLAN 263・FWポリシー650という大規模環境を一晩で切替え、翌日から安定稼働を実現。DHCP・Dynamic VLAN対応が採用の決め手となりました。

東映株式会社
UTMをL3ルータ的に活用し、Syslog集約によるログ監視と不正アクセス検知を実現。「セキュリティ担当者だけで抱えず、SOC/NOCに任せる部分は任せるべき」という実践的な見解も共有されました。

これらの事例は、“運用の仕組みを整えることが最大の防御である”というSonicWallの思想を体現しています。

ロードマップで見えた未来 ― 自社開発と市場戦略の深化

Q&Aセッションでは、今後のSonicWallが取り組む主要テーマと、日本市場への明確なコミットメントが共有されました。同社は、自社開発によるEDR(Endpoint Detection and Response)の強化や、ネットワークインフラの最適化、リモートアクセス領域でのさらなる拡張を進めています。

また、クラウド型セキュリティサービス「Cloud Secure Edge(CSE)」のローカライズ対応など、グローバルと日本市場の両立を意識したロードマップも示されました。特に、AIによる運用最適化とゼロトラスト基盤の拡充は、今後のSonicWallが掲げる重点戦略の中核に位置づけられています。

北川社長は、「日本市場はリモートアクセス分野で特に成長が見込まれる」と述べ、国内パートナーとの協業体制をさらに強化していく方針を明言しました。こうした一連の取り組みは、単なる機能追加にとどまらず、“マネージドと統合の時代”におけるセキュリティ運用モデルの再定義を目指すものといえます。

経営層へのメッセージ ― セキュリティは“今払うか、後で払うか”

イベントの最後に語られた印象的な一言。

「AIの台頭で攻撃が巧妙化している。セキュリティは“今コストを払うか、あとでより多く払うか”の違いである。」

このメッセージは、セキュリティ投資を“コストではなく経営判断”として捉える重要性を再認識させるものでした。

まとめ ― SonicWallは“ハードウェアベンダー”から“運用パートナー”へ

「SonicWall Elevate on the Road 2025 Tokyo」は、SonicWallがハードウェア中心のベンダーから、マネージド&統合運用を提供するセキュリティエコシステムプロバイダーへと進化した節目を示すイベントでした。

統合プラットフォーム、AIアシスタント、そしてマネージドサービス
――これら三つの柱が、これからの持続可能なセキュリティ運用を支える核心となるでしょう。

SonicWallが掲げる「マネージドと統合」のビジョンは、もはや理想論ではなく現実解に近づきつつあります。今後も同社の動向は、セキュリティ運用の未来を占う重要な指標となるでしょう。

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