黒澤一秀のコラム「YNOを活用した無線AP管理の活用事例」

以下はSCSK株式会社より許可を得て期間限定で掲載しています。

目次

YNOを活用した無線AP管理の活用事例

 以前のコラムではWLX212のクラスター管理機能を活用し、同一ネットワーク(一つの店舗)に複数台設置したWLX212を一括管理する方法を紹介しました。今回は、さらに発展させ複数のネットワーク(全国各地の店舗)に展開したWLX212を一括管理する方法を紹介します。

 弊社が運営するネットカフェ自遊空間でYamaha Network Organizer(以下、YNO)を活用して無線LAN環境の運用管理を効率化した事例を紹介します。自遊空間は全国に100店舗以上あり、各店舗の無線LAN環境を少人数で運用管理することは容易ではありません。これまで、店舗毎にオンプレ管理で運用していたWLX212をYNO管理に変更することで無線APのクラウド一元管理を実現することができました。まずは、その切替え手順を説明します。

1,YNO管理への切替え手順

Step.1 YNO接続ライセンスの取得

 YNOへ接続するためには、ライセンスが必要となります。WLX212には、最大1年間 無償ライセンスがついていますので、それを活用しました。詳しくは、SCSKのwebサイトをご確認ください。

https://www.scsk.jp/product/common/yamaha/wlx212_purchaser_license.html

Step.2 管理モードの変更

 店舗毎にクラスター管理していたWLX212の管理モードをYNO管理に変更します。

・該当のネットワーク内にある仮想コントローラーへログイン
・基本設定>管理モード

YNOエージェント機能の使用を「使用する」にチェックし設定ボタン押下

確認のポップアップが表示されます。

「YNOエージェント機能の使用」を”使用する”に変更すると、YNOマネージャーに自動的に接続しに行きます。接続が完了すると、YNOマネージャーで設定していたCONFIGがAPに流し込まれ、現在のCONFIGに上書きされます。

OKを押下(※配下のslaveへも設定が送信されます)

Step.3 YNOへの無線AP登録

 YNO管理画面でライセンスの割当を行います。

・YNOへログイン
・無線AP>AP登録/グループ管理

+APの登録ボタンを押下

・APの登録

機器のシリアルとデバイスIDを登録

  グループの割当

  確認ボタン押下

  これでYNOへの機器登録は完了です。無線APがYNOと通信を確立するまで少し待ちます。

Step.4 無線APの登録確認と状態確認

 YNO上では、多数の無線APの管理を想定し「グループ一覧」→「クラスター一覧」→「AP一覧」の3段階の階層構造で管理できるようになっています。画面の基本操作を説明します。

・無線AP>機器管理

 無線APがYNOと通信を確立すると、管理AP数が増加します。

 確認したいグループのアクションを押下

グループに属しているクラスター一覧が表示されます

確認したいクラスターのアクションを押下。

クラスターに属すAP一覧が表示されます

さらに機器の詳細を見る場合は、アクションの「i」マークを押下。

選択した機器の詳細が確認できます

以上が、基本的なYNO管理への切替え手順となります。

2,オンプレ管理とYNO管理の違い

 オンプレ管理では、同一ネットワークに配置された複数の無線APでクラスターを作り、そのクラスター内でのみ有効なCONFIGを設定していました。新しい拠点が増えた場合は、同様の作業を拠点ごとに行う必要があり、メンテナンスが必要な場合も拠点ごとに設定を行う必要がありました。

 YNO管理では、グループという概念が追加されており、グループごとに共通の設定を定義しておく部分を「グループCONFIG」、拠点ごとに異なる部分を「クラスターCONFIG」として定義する仕組みとなりました。

例えば、自遊空間のようなチェーン展開している事業の場合、SSID、パスワードの全拠点共通化、新たなサービスを開始する際に共通のSSIDの追加など必要になりますが、これらの設定はグループCONFIGで定義できるため、100拠点あったとしてもYNO上でグループCONFIGの設定を変更し、即時全拠点に反映させることが可能となりました。無線AP自体の性能は変わりませんが、YNOを活用することで運用管理面を大幅に改善することが可能です。

 なお、オンプレ管理、YNO管理のグループCONFIG、YNO管理のクラスターCONFIGの設定項目がそれぞれ異なっているため、今回比較表にまとめました。

3,まとめ

 1つの拠点に複数台の無線APを設置するようなケースの場合は、オンプレの仮想コントローラー機能で充分運用管理できると思います。多数の拠点に無線APを展開するようなケースにおいては、YNOを活用した無線AP管理が非常に有効です。拠点ごとにリモートメンテナンスするためのネットワーク設定も不要ですし、設定回数を減らすことで、設定ミスのリスクも減らすことができ、結果的に時間とコストの削減になります。

また、2021年3月発売予定となったWLX413は、WLX212とクラスターを組むことができ、YNOでの管理も可能、製品の外観も似ており同一世代の初の上位機種となります。Wi-Fi6対応、トライバンド搭載、最大スループット5.9Gbps、最大接続数500台、最大4,000件が登録可能なRADIUSサーバーも搭載されます。今後はWLX413とWLX212を組み合わせることで、無線LAN構築の幅が一気に広がりそうです。

ヤマハ無線LANアクセスポイント『WLX413』
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2021/21011801/

以上

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