このコラムは元警視庁の刑事で、現在、自遊空間を運営する弊社ランシステムのCS室室長である青木が社内向けに発信しているものです。弊社では店舗の無人化・省人化ソリューションや遠隔接客を推進しておりますが、このサイトをご覧の店舗経営者やマネージャーの皆様にも有用なコラムではないかと考え、ご紹介いたします。
第10回: 【職場のコミュ力向上】アサーティブ・コミュニケーションスキルの大切さ
これからの時代には、コミュニケーションスキルはどんな企業にも益々求められていくことと思います。高い成果を生む仕事にはチームワークとコミュニケーションがマストですよね。そこで「職場のコミュ力向上」 について、シリーズにしてお話していきたいと思います 。
初回となる今回は、基本的な心の準備として、アサーティブ・コミュニケーションスキルの大切さと、活用方法についてお話したいと思います。アサーティブ・コミュニケーションスキルとは、お互いの意見を尊重しながら、自身の意見を主張するコミュニケーションスキルのことを言い、当社ではこれを大切にしています。
■相手をコントロールしない、過度な謙遜をしない
(1)アサーティブになるために欠かせないのは、相手と対等な気持ちで向き合うこと。では、「対等」なコミュニケーションとは?
組織の場合、役職の違いや立場・キャリアの違い、スキルの有無、知識量の差などの上下関係が明確に分かっている分、コミュニケーションをはかる際には、対等の関係を意識することが何よりも大切です。とは言え、ここでお伝えしたい「対等」とは、立場の違いを超えてなれなれしい言葉を使うことではありません。立場が上の人、キャリアの長い人に対して、
- 意見を言ってはいけない
- 疑問や反対意見を言ってはいけない
- 改善要求をしてはいけない
こういった考え方にとらわれないことが、「対等」なコミュニケーションを取るために不可欠です。具体的なスキルについては次回以降に詳しくお話したいと思いますが、簡単に言うと、
「相手と私は、コミュニケーションを取る場では対等なのだ。」
と心の中で思えるといいでしょう。
反対に、自分の方が高い立場にいるときや、キャリアが長いときには、
「こちらの意見のほうが正しい」
「相手が言うことを聞くのは当たり前だ。私に従うべきだ。」
と思い込まないように注意が必要です。
たとえ立場に違いがあっても、相互尊重のもとに、伝えたいことは伝え合えること。
必要以上にへりくだったり、コントロールしようとしたり、押し付けようとしないこと。これらを心がけることが、「心の中では対等である」という状態です。
(2) 心の中でへりくだりすぎると、話の内容が伝わらない
言葉や文言を整えても、対等な気持ちで向き合わなければ、アサーティブ・コミュニケーションは成立しません。
例えば、自分の考えを相手に伝えるときに、
「私の立場でこんなことを言ってもいいのだろうか…。」
「私の方がキャリアも知識も浅いのに、こんな意見を言うのはおかしいのでは?」
このように、必要以上にへりくだったり、ひるんだり、不安や恐れの気持ちを抱えてしまったりする人は多いものですが、ネガティブな心持ちのままコミュニケーションをとると、話の内容よりも、心情の方が相手に伝わってしまいます。
せっかく自分の伝えたいことを整理して話したのに、
「こちらの考えを受け止めてもらえなかった…。」
と感じたことはありませんか?相手からすると、おどおどしている様子、自信が無さそうな様子、あきらめているような様子の印象の方が勝ってしまうため、どうしても話の内容が耳に入りにくいのです。円滑にコミュニケーションをとるには、話す内容だけでなく、自分がどのような心情で話しているのかということにも意識を向けてみましょう。
(3) 他人を見下すような気持ちは、相手にも伝わってしまう
へりくだるのとは反対に、見下すような気持ちも相手には伝わってしまいます。
例えば、その場で責めるような言葉を言っていなかったとしても、
「この人は、何をバカなことを言っているのだろう」
「こちらの言うことを素直に聞いていればいいのに。この人は何を言っても分からない人だ…。」
といった気持ちを抱えていると、言葉にしなくても、顔はスクリーンと同じで心に想ったことは出てしまいますので、相手に威圧感を与えてしまうこともあります。
相手が敏感なタイプなら、
「この人は、私をねじ伏せようとしている!」
と、感じとってしまうでしょう。
このようなコミュニケーションの取り方では、心から信頼し合って対話する関係を築くことは出来ません。さまざまな違いがあったとしても、自分も相手も尊重することは、人とコミュニケーションを取るうえでも、組織の心理的安全性を実現するうえでも、欠かせない要素なのです。
今回は、コミュ力を高める為に、アサーティブになる為の準備として、基本的な心構え等について、簡単にお話してきましたが、次回からは具体的なスキルと活用方法についてお話してまいります。
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