2020年12月23日(水)、「新時代向け安全なテレワーク環境構築」をテーマとしたパネルディスカッションを行いました。
このディスカッションは当社 システム外販部 部長 黒澤 一秀と、課長 荻野 正之助がパネリストとなり、モデレーターに吉政創成 代表取締役 吉政 忠志氏の3名で行いました。
本記事ではレポートとしてお送りします。
テレワークの市場動向について
総務省が発表したテレワークの調査レポートによれば、課題として一番に上がっていたのが、「会社でないと閲覧・参照できない資料やデータがあった」で、26.8%でした。
吉政氏「これは、外部から社内へのアクセス環境やシステムが整っていないことから上がってしまったと考えられますが、お二人は実際にこうしたことで困っているという声を聞いたことはありますか?」
黒澤「東京都テレワーク助成金が発表された後からテレワーク環境整備の要望を多く頂くようになりました。これまでもテレワークをやりたいという話はあったものの、具体的なイメージが付かないお客様が多かったと思います。ですが、今回は実際にテレワークにしないと業務が回らないという状況になったこともあって、皆さん本気でやりたいというお話でした。中小零細企業では、リモートアクセス環境はまだまだ整っておらず、実際に提案して導入に至った企業からは感謝の言葉を頂いております。」
荻野「お客様のアンケートで上がっていた回答としては、テレワークと出社を掛け合わせたハイブリッドな形で実施されているということでした。また、テレワークに適した環境がなかったことから作業場所として自遊空間を利用しているという声もよく聞かれました。」
吉政氏「御社はテレワークを実施しましたか?また、テレワーク中、コミュニケーションに苦労したという話もありますが、これについてはどう思われますか?ちなみに私は深夜にお客様に連絡して、携帯に通知が上がったことで怒られたことがあります。(笑)」
黒澤「現場で 店舗運営業務を行っている従業員以外はリスクを減らすためにもできるかぎりテレワークを活用しようという方針です。もともとシステム部門はテレワーク環境が整っていたので、その環境を管理部門に横展開する形だったのでスムーズでしたね。テレワーク中は相手が見えないので、声をかけるタイミングの取り方が難しいところは確かにあると思いますね。」
吉政氏「つづいて、テレワークをしたいと回答した方が24.3%、どちらかといえばしたいという方が38.4%ですが、この数字についてはどう思われますか。」
黒澤氏「実際にやってみて、便利だと思う方と、環境に多少の課題はあるけど、まあテレワークは便利だったかなという感覚の人がいるのだと思います。私の場合は自宅のウォークインクローゼットを改造してエアコンを取り付け、音が漏れにくい個室を作ってしまったので家族を気にせず通話やweb会議もできる状態ですが、一般的には個室まで確保するのは困難で、通話やweb会議をやることはかなりハードルが高いと思います。お風呂場で通話やweb会議に参加する人もいます。自宅でのテレワークは生活音、仕事とプライベートのオン・オフのしにくさ、家族の理解を得られるか?など多くの課題があるのが現実だと思います。」
吉政氏「確かに環境さえ整えば、テレワークは通勤時間も無くなりますし、効率的な時間の使い方ができるようになりますね。今回のようなパンデミック型の感染症は10年に1度の割合で起きています。災害時のことも含めて考えれば、BCP対策をしっかり施したシステム環境や、場所を選ばず仕事をできる環境を整えることは、災害にも強い会社になりますので、ぜひともこの機会に進めた方が良いかなと思いますね。」
テレワークの課題について
黒澤「仕事がしやすいように整えられている会社とは違い、自宅やファミレスなどでのテレワークは、機密性の問題や雑音がはいるといった問題があって、仕事をするのに適しているとは限りません。カフェなどのオープンスペースで堂々と電話をするわけにもいきませんしね。逆に今、Web会議が普及したことで会社内でも会議室が不足するという問題も出てきています。また、機密情報へのアクセスや、捺印の問題といった、システムツールが追い付いていないという課題もあります。もっと言えば、システムツールを利用するということはネットワークやセキュリティの問題も出てきます。」
吉政氏「オフィスでできることをリモートでも実現できるようにならないと、テレワークに移行しても不便を感じてしまいますね。同時にセキュリティ面の課題を解決しなくてはならない、ということですね。」
黒澤「その通りです。それらの課題を一つ一つクリアしていけば、今よりも仕事がしやすい環境が世の中に増えていくことになります。通勤時間をかけて会社まで行かなくても、仕事をしやすい場所が近場に増えれば移動を少なくし感染症のリスクを抑えながら、時間をより有効に使えるようになります。また、業務内容に合わせ適正な空間を選んで業務を行う事も可能だと考えます。一人で集中して仕事をしたいことなどありませんか?集中するときは、広い空間よりも狭い空間が適しているらしく、書斎が狭く作られているのもそのためのようです。システムツールが今よりさらに進歩していけば、いままでよりも仕事をしやすい世界を作れると思っています。ただし、システムツールを強化するにあたり、セキュリティ面の強化が不可欠だと思います。ゼロトラストセキュリティの考え方で対策することで、どこでも安心して業務を行えるようになります。働き方が進化するものだとポジティブにとらえセキュリティ対策にも適切な投資をすることが大切です。」
<ゼロトラストセキュリティとは?>
会社のネットワークは、安全(トラスト)ゾーンにPCを設置していたため、保護されてきました。しかし、テレワークによってパソコン自体が安全なゾーンから外部へ移動したことで、いろんなネットワークに接続されるようになりました。利用するネットワークは会社が用意したものではないため、安心して利用できるとは限りません。そのため、今後はトラストゾーンがないことを前提としたセキュリティを施す必要があります。
吉政氏「ニュースを見れば漏洩事件が結構頻繁に起きていることもあって、セキュリティに関しては大丈夫だとなかなか言い切れない人もいると思いますが、ゼロトラストセキュリティにすることでかなり安全に利用できるものなのでしょうか?」
黒澤「100%を保証するセキュリティは存在しませんが、ポイントを抑え限られた予算で有効なセキュリティ対策を行う事が大切だと考えています。テレワークで重要だと考えているポイントが二つあります。1つ目は、さまざまなネットワークに端末が繋がれることを想定して、エンドポイントセキュリティは必須です。クラウド管理、EDRへの拡張までできるものまであります。2つ目は、さまざまなシステムを使う時の認証の仕組みです。テレワークで様々な場所からのアクセスが想定されるので、不正アクセスを防止する機能まで盛り込んだ、多要素認証をお勧めします。記憶に頼るパスワードだけではなく、生体認証や個人が所有するデバイス、ワンタイムパスワードを使った認証を併せて行う事でより安全に認証を行えます。認証用の機器を紛失した場合は、システム管理者に紛失したことを連絡し、管理画面から該当デバイスを削除することが出来るので安心して利用できます。また、システム面でカバーできないポイントとして、 最終的には人の判断になりますので、社内教育も重要です。E-ラーニング等も使って社員の教育まで行う事も大切です。複雑なシステムにしてしまうとユーザーが使わなくなるという本末転倒なことにもなるのでなるべく利用しやすい形にするのがおすすめです。」
吉政氏「以前ニュースで企業の管理職がパソコンの入ったカバンを紛失したという経験を持つ人が10%ほどいると聞きましたので、それなら安心ですね!
※スマホ側に承認を求めるプッシュ通知を送信するものと、ワンタイムパスワード用の機器による認証